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戸で震度6、大阪は震度4とのことで、さほど大したことはないと思われるようなニュースであった。しかし今回の揺れは、過去に何回か体験したことのある震度4とは比較にならない程大きく、ニュースに疑問を持ったものだった。
神戸には親戚があり、その安否が気遣われ電話をするが一向に通じない。息子達から次々と電話があり、互いの無事を確かめあった。
時間の経過と共に被害が拡大し、死者は発表の度に大きくなり、ビル・家屋の損壊と火 災の状況など生々しい神戸の実態が報道され、未曾有の大震災であることが分かってきた。 消火活動は、倒壊したビル・家屋・街路樹が 道路を塞ぎ、断水のため全く手のつけられな い状態で悔しさに歯ぎしりをしたものである。
関東地方は東海地震を予測して平素から周到な地震対策が練られ、準備されていると言われている。これに対し関西、特に阪神地区は大地震のないところという世評が定説のようになっていただけに、行政も市民も全くと言ってよいほど地震対策は取っていなかったのではないだろうか。
大阪市では今回の地震を契機に都市の安全性が、改めて問われたことに答えて、「大阪総合計画21推進のための中期指針」の中で震災に対する安全性の高いまちづくり」を取り上げている。具体的には、1都市全体の耐震化や不燃化の推進。2地域に密着した防災拠点・避難場所としての整備の推進。3出火・延焼を予測するシステムの導入。4消防水利の充実・強化の推進。5特別救助隊の編成。6地域の自主防災体制の整備の推進。7災害 応急体制の整備の推進。などについて、きめ細かい諸施策を策定し、市民の安全確保のために行政と市民が一体となって取り組もうとしている。いずれにしても、今回のような大震災に対しては、行政の積極的な取り組みと共に、私達一人ひとりが平素から「いざ」という時の心構えを堅持してこそ、その実が上がるものと思う。
震災から1年半が経過し、我が家の土蔵や家屋・石灯籠の修理も終わり、震災前の生活を取り戻した今、「喉元過ぎれば熱さを忘れる。」の例にあるように、あの時のような緊張感が薄れつつあると感じるのは私だけであろうか?
せめて各家族単位ごとに防災の日を設定しお互いに防災意識を高めるべく努力する事が必要ではないかと思う昨今である。

 

 

 

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